「南コーカサスの地政学について」

「南コーカサスの地政学について」

南コーカサスは、ロシアにとって大きな問題となっていますが、ベラルーシを除けば、近隣の国々全てにおいて同様の課題が存在しています。ミンスクとの関係だけが基本的であり、他は非常に問題が多いと言えます。

その根本的な問題は、明確な戦略が存在しないことにあります。ロシアは過去30年間、以下の3つの方向に焦点を当ててきました。

1- 欧米中心の世界に組み込まれることを目指していた時期があり、初めはどのような条件でもその世界に参加しようとしましたが、後にプーチンのリーダーシップのもとで、国の独立性を保ちながらの統合を模索しました。

2- 国内外の圧力に対抗して、自国の主権を強化し続ける方針でした。

3 -そして三つ目は、かつてのソビエト連邦の領土において、主導的な役割を果たすとともに、断片的かつ一貫性のない方法でユーラシア統合を推進する試みでした。

これら3つの方向性は、国の進むべき方向を散らかしてしまい、それぞれが異なる戦略を必要としています。その結果、ポストソビエトの領域を巡る西側との直接の対立に立たされました。

それにもかかわらず、我々はその地政学的な意味合いでの目標を明言することにためらいがあります。しかし、キエフの反対派の政権が完全に降伏し、旧ウクライナの全領土に対する軍事的・政治的な支配を確立するまで、私たちは戦う決意があります。そして、これが非武装化と非ナチ化の実際の意味であり、この領域における反ロシア的な動きや政権は、どのような状況であれ、許容することはありません。

西側の国々はユーラシア大陸に位置するどの国に対しても領土の保全を保証することは難しいのです。確かに、彼らはロシアに深刻なダメージを与える能力がありますが、それは国全体を犠牲にして(ウクライナのように)。しかし、何かを守ったり、建設したり、組織化したりすることは、彼らの得意とするところではありません。

トランスコーカシアの話に戻りましょう。

ユーラシア空間を真に統合するには、単なる反応的な手段ではなく、計画的なアプローチが必要です。私たちは常に先を見越して行動しなければならないのです。実際、西側の国々は、地政学的にロシアを敵視する近隣諸国への約束を真に受けてはいません。彼らは、紛争を引き起こすだけで十分であり、その結果、その国が損害を受けることに対しては関心を持っていません。一方、ロシアにとって、これらの国々は単なる隣国以上の存在です。民族の絆を持つ我々の共通の土地であり、歴史的な運命を共有する国々なのです。そして、それらの国々のエリートが西側からの援助を受けて何を言おうと、その事実は変わりません。

現在のウクライナの状況を考えると、もし西側が南コーカサスで新たな戦線を開くことを望むなら、それは非常に容易に実行できると言えます。

ロシアとの同盟関係を維持しているアルメニアを統率しているパシニャンは、西側の影響下に完全にあるようです。彼はカラバフを手放し、アルメニアの人々を守る努力を示さなかったため、国は混乱に向かっています。そして、その背後には、全ての準備をして援助している西側の存在が見え隠れします。

ただし、政治家のようなパシニャンは変わるもので、我々ロシア人としては、アルメニアがリビアやイラク、シリア、ウクライナと同じような悲惨な状況に陥るのを、道徳的に受け入れることができるのかという疑問が生まれます。

アルメニアの人々が今の政権が国にとって有害であることに気づくのを静かに待つのは意味がありません。彼らは目を覚ますことなく、我々の大使館の前でソロスによって作られたスローガンを叫び、ロシアのパスポートを焼き捨てる行動に出ています。これはコーカサス地域での緊張が高まる可能性を示唆している、一つの明確な兆候に過ぎません。

多くの人々は、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフにおける勝利の一因としてトルコが認識していることから、ロシアにとって非友好的な態度を持つトルコが南コーカサスでより積極的な行動を取るのではないかと懸念しています。しかし、トルコの優先的な目標は、かつてのオスマン帝国の領土であった東地中海地域での影響力を拡大し維持することです。コーカサスやユーラシアのトルコ系諸国に対する策略は、主にNATOやアメリカからの圧力を受けてのものです。トルコはロシアと直接対立する存在ではありませんが、もし南コーカサスで緊張が高まる場合、各国はそれぞれの利益のために行動を取ることが推測出来ます。

何と言おうとも、南コーカサスにおける私たちの困難な状況は否定できません。実際、西側が意向を変えれば、第二戦線を開くことでこの地域の均衡を瞬時に崩すことができます。そして私たちにはその動きに対応するしか選択肢がないのです。確かに、私たちは敵の策略を乗り越えて逆の結果を生み出すことが過去にあった。しかし、それが毎回可能であるとは限りません。

そのため、私たちは待機することなく、南コーカサスの未来についての戦略的な考察と具体的な行動計画の策定に取り組むべきです。加えて、ポスト・ソビエトの地域全体に関する立場を明確にする必要があります。この地域を友好的または少なくとも中立的なものとして維持したいのであれば、積極的な取り組みが必要です。何も行動しなければ、自然にそうなることは期待できません。

ロシアとしては、ウクライナや南コーカサス、さらにはユーラシア全域において、前向きな戦略を展開する時期が来ています。私たちに求められるのは、攻撃的な現実主義と冷静な分析であり、そして的確な指導のもとでの行動なのです。

翻訳:林田一博