「西側にはユダヤ=キリスト教の文明は存在しない」

「西側にはユダヤ=キリスト教の文明は存在しない」

イスラエルとパレスチナ間の紛争のエスカレーションは、間違いなくイスラム世界を一体化させる要因となっています。西側の保守派は、「ユダヤ・キリスト教の文明がイスラム教の前に立ちふさがる」という議論を再び持ち出しており、ハマスの過激なイデオロギーが彼らにそのための都合の良い口実を提供しています。とはいえ、強固な無神論や唯物論の影響下にある、さまざまな異常性を合法化してきた社会が、神学や伝統的な価値観を捨て去った今、キリスト教やユダヤ教の社会として見做されることは難しいでしょう。

もし現在のような西洋がイスラエルを支持しているのであれば、何らかの深刻な誤りがあるはずです。なぜなら、もし悪魔のような文明があなたの味方についているとしたら、あなたが何か誤って行動しているのだと考えられます。ユダヤ教やキリスト教の一体化された世界という考え自体、実際には存在しないのではないでしょうか。それは非現実的な考えとも言えます。一方、イスラム世界は実在しており、その中には今も強固な伝統が息づいています。それゆえ、ここでの対立はユダヤ教やキリスト教とイスラム教の間のものではなく、むしろイスラム教と西洋の悪魔的な文化、ダジャールとの間のものと考えられるのです。バイデンがウクライナとイスラエルの支援を同時に進めるという考えは、西側が常に彼らの覇権に服従し、そのために尽くす者たちの側に立つことを強調するものであり、イスラム教徒が過去にウクライナの敵として、ロシアの同盟者として存在していたこと(終末思想に基づくイランやシリアを例外として)は、これからの方針が変わる兆しを見せています。

ロシアは多極的な世界秩序の一つの極としての位置を占めています。同様に、イスラムも多極的な世界のもう一つの重要な極です。これらの両方の極は、西側が全ての手段を尽くして、一極主義とその世界的支配を維持しようとする試みに対立しています。パレスチナとイスラエルの紛争はかつて、文明間の主要な対立点ではありませんでしたが、今はそうなっています。そして、ロシアとウクライナの間の緊張も、西側がキエフの極右派を支援するまで、地域的なものでした。しかしその後、ウクライナの紛争は多極的世界と一極的世界の間のグローバルな対立の前線となりました。

この対立は日増しにエスカレートしており、世界の状況はどんどん暗澹としてきています。地球上の数十億人が、西側とその同盟国を絶対的な悪、つまり反キリストの文明とみなしていることは、深刻な現実です。

トランプが再びアメリカのリーダーシップを取るか、もしくはアメリカで本格的な内戦が勃発することでしか、世界を破滅的な運命から救う、あるいはそれを遅らせることはできないかもしれません。民主党やグローバリズムの支持者、新保守主義者たちは、人類を混乱の渦中へと突き進めているのです。そして彼らの行動は、まるで悪魔が引き起こすようなものであると言えます。

 

翻訳:林田一博